フヴァル島はスプリトから南へ約35キロ、ブラチ島を挟んだ向こう側にある東西に長い島です。
ヨーロッパ有数のリゾートの島として有名で、年間で2700時間以上晴れているという晴天率が高いことでも知られています。
かつてはギリシャ人、ヴェネツィア共和国、東ローマ帝国、ハンガリー、フランス、イタリアと支配者が次々に変わる歴史に翻弄された島でもありましたが、現在ではオリーブとワインのぶどう畑が広がり、そして初夏にはラベンダーが咲く平和な島です。
ヴィス島とビシェヴォ島はフヴァルからもう少し西へ行ったアドリア海に浮かぶ島で、ヴィスはフヴァルと同じく人気のリゾートアイランドで、美しいビーチと海を楽しみに夏になると多くの人が訪れます。
ヴィス島のさらに西にあるビシェヴォ島は大きさが5.8平方キロ、人口わずか15人(冬はもっと少なくなります)の小島ですが、島の西側の岬にある洞窟が「青の洞窟 Modra špilja」として知られ、イタリア・カプリ島の有名なほうと比べても遜色のない美しさを誇ります。
できればフヴァルに数日滞在してゆっくり島巡りをするのがオススメですが、時間がない場合はスプリトからの日帰りで全部回ることも可能です。
夏季はフヴァル〜ドブロブニク間の高速船の運行があるので、旅程に組み込むことも容易になります。
アクセス・交通
フヴァルへのアクセス
フヴァルへはスプリトから年間を通じて高速船とフェリーの便が多数あり、近隣のブラチ島、コルチュラ島との便もあります。
フヴァルには港がいくつかありますが、スプリトからの船が発着するのは西のフヴァル港と北のスタリグラード港。
フヴァル港はフヴァルの町の中心にあるので基本的にはこちらに発着する船を使うのが便利ですが、レンタカーを持ち込む場合はカーフェリーのあるスタリグラード港発着のフェリーを利用する必要があります。
スプリト〜フヴァル港間はヤドロリニヤ(Jadrolinija)とカペタン・ルカ(Kapetan Luka)の2社が夏季は1日最大18往復(ほぼ1時間に1〜2本の割合)、冬季は1日2往復あり、予約無しで当日乗船券購入でも乗れないことは無いと思ってOK。所要時間は概ね1時間程度。
夏季にはカペタン・ルカがスプリト〜フヴァル〜ドブロブニク間の高速船を1日1往復運行しますが、これは混雑することが多いので事前予約必須です。
ヴィス・ビシェヴォへのアクセス
スプリト〜ヴィス間は年間を通じてヤドロリニヤのフェリーと高速船が運行していて、冬は1日3往復、夏は1日4往復あります。所要時間は高速船で約1時間30分、フェリーで約2時間20分。
フヴァル〜ヴィス間は近いものの意外と往来はしづらく、1週間に1便しかないのでほぼ移動できないと思ったほうが良いレベルです。
ただ、フヴァルから日帰りでヴィス、ビシェヴォ、パクレニ諸島などを訪れるツアーがたくさんあるので、それに乗っかることで無駄なく観光は可能です。
したがってヴィスへ行く場合は、宿泊する場合はスプリトから直接移動、日帰りでの場合はフヴァルからでOKということになります。
ビシェヴォへも自力では行きづらく、ヴィス島のコミジャ港からビシェヴォ島のポラット港への船が週数便はあるものの、かなり不便なのでオススメができません。
フヴァルの島内交通
フヴァルの島は東西に80キロ近くある意外と広い島で、正直いって島内の移動はかなり不便です。
路線バスがフヴァルの町のバスターミナル(港から徒歩2〜3分ほど)からスタリグラード港、スタリグラード、イェルサ、ヴルボスカ、スチュライの間で運行はしていますが、最も便の多いスタリグラード港行きでも1日数便だけ。
基本的にスタリグラード平原やイヴァン・ドラツなどへ行く場合はタクシーかレンタカーを使うことになります。フヴァルの町周辺だけならばレンタサイクルもオススメ。国際免許の項目Aにスタンプのある人はバイクをレンタルするのも良いかもしれません。
フヴァルの主な見どころ
フヴァル島そのものの見どころはほぼフヴァルの町(フヴァル港周辺)に集中していますが、内陸にラベンダーを見に行ったり、スタリグラード平原へ行く場合は何らかの足が必要です。
ヴィス島、ビシェヴォ島、パクレニ諸島へ行く場合は船が当然必要ですが、夏季であれば港周辺に島巡りや日帰りエクスカーションの案内カウンターが多数出ていて、前日の申込みや当日参加も可能。もちろん、クロアチアツアーズで事前にツアーを手配しておくことも可能です。
フヴァル城塞(スペイン城塞)
Gradska Tvrđava / Španjola
フヴァルの町と港を見下ろす丘の上に建つ城塞で、どこまでも続く青い空とアドリア海、フヴァルの町のコントラストがとても美しい展望台になっています。
地元の人はここのことを「スペイン城塞 Španjola」と呼びますが、これは建設時の技術者にスペイン人がいたというのが由来。
元々はヴェネツィア共和国時代から城塞があり、1571年のビザンチンによる侵略と破壊の際には町は焼け落ちたものの市民はここに逃げ込んで無事だったという記録が残っています。
ところが1579年に落雷が弾薬庫を直撃し城塞は崩壊、17世紀にかけて再建されたものが現在見られる城塞です。
港から山の見えるほうへ進んでいくと山道の入り口があり、そこから20分ほどかけて登っていきます。夏は暑くて汗だくになりますが、登りきったあとの景色は格別なのでがんばりましょう。
ナポレオン城塞
Tvrđava Napoleon
ナポレオン率いるフランスがダルマチア地方を占領しイリュリア州としていた時代の1812年に築かれた城塞跡。
フヴァル城塞によりも北側に奥まってはいるものの標高は高いため、さらに遠くまで見渡すことができます。
現在は城塞そのものは残っておらず、ザグレブ大学が所有する天文台が設置されていて敷地に入ることはできません。
ただ、その敷地の周りには入ることができ、ベンチもあるので何にも邪魔されない絶景を楽しむことができます。
港からは歩いて40分ほどで行くことができますが、その間ずっとひたすら上りになるので体力は必要です。
スタリグラード平原
Starogradsko polje
「スタリグラード」とは「古い町」という意味で、その名前の通りフヴァルでは最も歴史の古い町です。
スタリグラードの町は今では小さな港町でのどかな雰囲気そのものですが、その近郊には「スタリグラード平原」が広がっていて、紀元前4世紀頃に入植してきたギリシャ人が築いた石造りの区画が残っています。
この区画は180m x 900mできれいに区切られていて、上空から見ると(ドローンを飛ばすぐらいしか方法がありませんが)その様子が確認できます。
2500年に渡って、この区画は維持され、現在でもかつてと同じようにオリーブやぶどうの栽培が行われ、その保存状態の良さと現在でも利用されていることの希少価値が認められ、2008年にユネスコ世界遺産として登録されました。
フヴァルの町からはタクシーかレンタカーで行くのが一般的です。レンタサイクルで行く観光客もいることにはいますが、フヴァルの町からは20キロほどあり、山越えもあるので相当疲れる行程になるので注意。
パクレニ諸島
Pakleni otoci
パクレニ諸島はフヴァル島の南西、フヴァルの町のすぐ目と鼻の先にある16の小さな島が集まったエリアです。
東西10キロに小さな島が連なっている様子はフヴァルの城塞からも見ることができ、最も大きな島(聖クレメント島)のパルミジャーナ(Palmižana)、イェロリム島、マリンコヴァチ島のスティパンスカなどはフヴァルからボートで渡ることができます。
ビーチはもちろん、ダイビング、シュノーケリングなども可能。フヴァルからランチが付いた日帰りツアーも多数あり、ヴィス・ビシェヴォを巡るツアーのランチタイムも大抵はパクレニ諸島のどこかで取るものがほとんど。
ヴィス島
Vis
ヴィス島はフヴァルから約20キロ南西に浮かぶ島。
島のほとんどが山と丘陵地帯で覆われ、町は海沿いに点在するだけの小さな島ですが、近年はフヴァルと並ぶリゾートアイランドとして注目されています。
スプリトやフヴァルからの日帰りツアーで必ず立ち寄るスポットが島の南にあるスティニヴァ・ビーチ(Stiniva)。
切り立った崖の下にある小さなビーチで、海側でも両側からせり出す岩がまるでゲートのようになっていて外からは全貌は見えない、まさに隠れ家ビーチ。
どことなく、「紅の豚」のポルコ・ロッソが拠点にしていた島とビーチを思い起こさせます。
ヴィス島へはスプリトからフェリー・高速船(1日3〜4便)か、スプリトもしくはフヴァルから日帰りツアーに参加するかで行くことができます。フヴァルからの定期便がほとんど無いため、ヴィスで宿泊する場合はスプリトから直接向かう必要があります。
ビシェヴォ島と青の洞窟
Biševo / Modra špilja
ビシェヴォ島はヴィス島の南西、ビシェヴォ海峡を挟んですぐのところにある小島。
人口もほとんどなく、冬になると無人島に近くなる島ですが、夏の間はここにある「青の洞窟 Modra špilja」を目当てに毎日旅行者がひっきりなしに訪れます。
「青の洞窟」といえばイタリア・カプリ島にあるものが有名ですが、ビシェヴォ島の青の洞窟もそれに劣らない美しさを誇り、カプリ島ほど人が多いわけではなく、洞窟へ連れていってくれるボートの船頭にたちの悪いのがいない(カプリはたまにいるので有名)ので、個人的にはこちらのほうが断然オススメ。
洞窟に入ることができるのは10分程度ですが、外が晴れてさえいれば幻想的に青い光を放つ洞窟を堪能できるはず。
5月〜9月の間は波の状況さえ悪くなければ入ることができる日が多く、入れるかどうかは事前にスプリトやフヴァルでもある程度確認はできる(状況が変わる可能性はあります)ので、晴れていれば行ってみるのがオススメ。
基本的にはスプリト・フヴァルからの日帰りツアー参加が必須で、大抵のツアーではヴィスのスティニヴァ・ビーチ、ラヴニク島の緑の洞窟、パクレニ諸島にも立ち寄ります。
ツアー参加でビシェヴォに入る場合、島の東にある小さな港(Mezuporat)に到着します。そこの窓口で洞窟入場のチケットと整理券を入手し、電光掲示板に自分の番号が表示されるのを待ちます。ドリンク類は港のカフェで購入できますが観光地価格なので注意。トイレは丘を少し上ったところに設置されています。
緑の洞窟
Biševo / Modra špilja
ビシェヴォ島の青の洞窟に比べるとやや知名度は下がりますが、こちらも洞窟内の水中に光が差し込んで色が変わって見えます。
ここは洞窟内で泳ぐことができるので、船からそのまま飛び込んでみるのもオススメ。
緑の洞窟だけを単独で行くことは難しく、基本的にはスプリト・フヴァルからの日帰りツアー参加が必須で、大抵のツアーではヴィスのスティニヴァ・ビーチ、ラヴニク島の緑の洞窟、パクレニ諸島にも立ち寄ります。
ただ、青の洞窟のように入場料がかかる洞窟ではないので、ヴィス島のルカヴァツ(Rukavac)の港で船乗りと交渉して行くことも可能。
フヴァルのオススメホテル
クロアチアツアーズが厳選したフヴァルのホテルをご紹介します。
クロアチアツアーズではご案内するホテルに一定の基準を設け、どれだけ安くてもその基準を下回るホテルをご案内することはありません。
ただ泊まるだけ」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、泊まるホテルは意外と印象に残るものです。
アンフォラ・ビーチリゾート
AMFORA HVAR GRAND BEACH RESORT
フヴァル港から800メートルほど西にあるラグジュアリーリゾートホテル。
大きなプールにはスライダーもあるのでお子様連れにもオススメ。
レストランはプールサイドとルーフトップにあり、ディナータイムには夕日の沈むアドリア海を眺めながらの食事が堪能できます。
港〜ホテル間では無料送迎が利用可能。
Ul. Biskupa Jurja Dubokovica 5, 21450 Hvar
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Wi-Fi| レストラン| バー| 駐車場あり| プール| ATM/両替
アドリアーナ
ADRIANA
フヴァル港に面したリゾートホテルで、2018年に全面改装を終えたばかり。
大人向けの洗練されたリゾートといった趣で、カップル利用にオススメ。
フヴァルの町と港を見渡せるルーフトップテラスもあります。
港のすぐそばではありますが、到着時間を知らせておけばポーターが港まで迎えにきてくれるので荷物を運んでもらうことができます。
Obala Fabrika 28, 21450 Hvar
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Wi-Fi| レストラン| バー| プール| ジム
リヴァ・ヨットハーバー
RIVA YACHT HARBOUR
フヴァル港のヨットハーバーに面したホテル。
海沿いのプロムナードにあり、スプリトやドブロブニクからのフェリー乗り場はもちろん、ヴィス・ビシェヴォなどへの日帰りツアーもここから発着するので便利です。
Riva 27, 21450 Hvar
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Wi-Fi| バー| 駐車場あり
苫屋
TOMAYA
フヴァル島南部、イヴァン・ドラツ村で日本人の女将さんとクロアチア人のご主人が営む宿。
ぶどうとオリーブ畑が続く高台の上にあり、ここから眺める海はまさに絶景。
島内の観光は車で連れていってもらうことも可能(有料)で、女将さんはガイドライセンスも持っているので何でも教えてもらえます。
宿の目の前の崖を下ると人の少ない美しいビーチがあり、アドリア海の田舎リゾート生活を堪能できます。
ご主人が作るオリーブオイルは数々の賞を受賞している逸品(購入も可能)。
Ivan Dolac 50, 21465 Jelsa
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Wi-Fi| 駐車場あり