日本ではまだまだ馴染みのない国、モンテネグロ(Montenegro)。
クロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナと同じく、かつてはユーゴスラビアの構成国で、セルビア・モンテネグロなどへの改組を経て2006年に独立したばかり。
首都はポドゴリツァ(Podgorica/Подгорица)で、モンテネグロ南部にありますが、正直いって時間をかけて行く必要があるほど見どころがあるわけではないのであまり観光客には縁がありませんが、ポドゴリツァ空港はヨーロッパ各地との便が比較的多く、冬季に極端にフライトの減るドブロブニク空港の代替として有効です。
モンテネグロの見どころはアドリア海に面する295キロに及ぶ海岸線沿いで、特に2010年前後からヨーロッパやアメリカでも美しい海岸線と古い町の景観が注目されはじめ、ここで紹介するコトルやスヴェティ・ステファンなどは多くの観光客を集めるようになりました。
クロアチア旅行にちょっとプラス!モンテネグロ・コトルの主な見どころ
ここで紹介するモンテネグロの見どころはすべてアドリア海沿岸にあり、クロアチア国境からも近く、ドブロブニクから100キロ圏内なので十分日帰り可能な距離です。
また、一筆書きの旅程にする場合はドブロブニクからコトルなどに立ち寄ったあとポドゴリツァまで抜ける(もしくは逆行程でポドゴリツァからクロアチアへ向かう)ことも、ポドゴリツァ空港発着のフライトを利用することで可能となります。
コトル
Kotor
コトルはモンテネグロ西部、内陸に大きく入り込んだコトル湾に面し、かつ背後には山々が迫る独特の景観をもつ町で、町と周辺地域が「コトルの自然と文化歴史地域」としてユネスコ世界遺産にも登録されています。
中世にはラグーサ(現ドブロブニク)などと競い合うダルマチアの有力都市国家カッターロ(Cattaro)として発展した町で、1420年〜1797年の300年以上の間はヴェネツィア共和国共和国領(アルバニア・ヴェネタ Albania Veneta)の一部となっていて、現在見られるコトルの町並みはヴェネツィアの影響を大きく受けていることがわかります。
町の背後の山のふもとにはヴェネツィア共和国時代に築かれた城壁が約4.5キロあり、城壁上と点在する砦からはコトルの町と湾を一望することができます。
旧市街はヴェネツィア共和国時代の雰囲気を非常に良く残していて、町並みを眺めながら歩くだけでも楽しい町。聖トリプン大聖堂(Katedrala Svetog Tripuna/Катедрала Светог Трипуна)などの教会建築も見どころです。
コトルへのアクセス
コトルへはドブロブニクからバスで日帰りが可能です。
コトルのバスターミナルは旧市街の南500メートルほどの場所で、旧市街まで徒歩圏内。
ドブロブニク・バスターミナル(グルジュ港)からは1日5〜7往復程度バスの運行があり、所要時間は約2〜2.5時間。
首都ポドゴリツァへは1日10往復程度、こちらも約2〜2.5時間。
スヴェティ・ステファン
Sveti Stefan/Свети Стефан
スヴェティ・ステファンはコトルから約30キロ南にあるアドリア海沿いにあるビーチリゾートです。
小さなモン・サン・ミッシェルのような、砂地で本土と繋がった島が印象的。この島は元々はヴェネツィア共和国時代からの小さな漁村でしたが1950年代に当時のユーゴスラビア政府主導でリゾート開発が行われました。
国営リゾート時代にはエリザベス・テイラーやソフィア・ローレンなど海外セレブも訪れるリゾートとして知られていましたが、ユーゴスラビア崩壊とともにリゾートも消滅、10年以上放置される時代が続いていました。
モンテネグロ独立後の2007年、政府主導でリゾートの再開発プロジェクトがスタートし、アマンリゾーツによって島全体と本土側のヴィラ・ミロチェル(Villa Miločer)が「アマン・スヴェティ・ステファン」として生まれ変わりました。
島の内部では15〜19世紀の間に造られた建物の外観はそのまま残していますが、現在はホテルゲストしか入島することができません。もちろん宿泊は可能ですが、5月〜10月しかオープンしておらず、部屋数も58しかないため夏季は部屋を取るのが困難になるので、予約はお早めに。
本土側にも一般向けビーチ(島への道の南側)と普通のホテルもあり、島全体を眺めることができるホテルも多くあります(モン・サン・ミッシェルと同じで、外に泊まるほうが景色が良いパターン)。
海岸沿いを走る幹線道路は町の中心部は通らず、山側にバイパス状になっていますが、その道沿いにも展望台があるのでそこへの立ち寄りもオススメ。
スヴェティ・ステファンへのアクセス
スヴェティ・ステファンへはコトルからバスで約1時間ですが、バスの本数が夏でも1日4〜5往復です。
冬季は減るため、宿泊する場合はともかく、クロアチア領内からの日帰りは自力だと夏でもやや厳し目。
ドブロブニクからコトルとスヴェティ・ステファンを専用車で周るか、ポドゴリツァへ抜ける行程をオススメします。